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Graduate Diploma Fashion Design Technology: Ms. Kaho Fujihira



留学レベル:

Graduate Diploma

カレッジ:

London College of Fashion

コース名:

Graduate Diploma Fashion Design Technology

留学期間:

2020年 10月~

現在、某有名デザイナーズブランドのプレスアシスタントとして働かれているFujihira Kahoさんより、ロンドン芸術大学へのファッション留学についての体験談をいただきました。Fujihiraさんは、アメリカのファッションスクールをご卒業されていますが、国や学校によるアプローチの違いや、気になる卒業後のキャリアについてもお話いただいております。


留学準備について


Q. 英国留学を決心した理由やきっかけを教えてください。



アメリカではファッションの中でも、主に企画・生産というテクニカルなことを勉強していたため、さらに自分が秘めているクリエイティブな面を追求したく、イギリス留学を決断しました。服を作ることができても、「デザイン」をするということについては何も知りませんでした。


Q. なぜロンドン芸術大学(UAL)を選びましたか?



ロンドンは世界でもアートやファッション、カルチャーのシーンが豊富であり、それらの分野での造詣が深いUALに私はとても魅力を感じました。様々な感性を持った人が世界中から多く集まり、刺激溢れる唯一無二な環境です。「デザイン」には服を作ることだけではなく、ファッションセオリーやファッションヒストリー、リサーチの仕方やコンセプトの展開、自分を理解することなどと多くの要素があります。UALではこれら全てを鍛えることができ、技術や知識だけではなく、感性も成長させることができると思い選びました。


ロンドン芸術大学コースについて


Q. LCFのGraduate Diploma Fashion Design Technologyはどんなこと学ぶコースですか?

Graduate Diploma Fashion Design Technologyはハイレベルかつハイペースで、刺激の多いコースです。デザイン以外でのBA(学士号)を取得している学生も受け入れているコースであり、服作りのテクニカルな面より、リサーチ力やコンセプト構成、クリティカルシンキング(Critical Thinking)が鍛えられます。


ファッションデザインのコースではありますが、プロジェクトの最終形態は典型的なコレクションでなくてはならないという決まりはなく、プロダクトデザインやデジタルアート、ファッションイメージなど学生のプロジェクトの展開に最も合った最終形態であることが重要とされています。


コースは前半と後半に分けられていて、メインのプロジェクトが2つあります。どちらのプロジェクトもチューターやゲストデザイナー、クラスメイトなどとプロジェクトの進行具合についての近況報告を行い、アドバイスを受ける「クリティーク」を行います。アートやカルチャー、デザインに関しての知識が豊富なチューターは、このクリティークでそれぞれの学生の感性や、興味のあること、プロジェクトの内容に沿って、多くのアドバイスや提案をしてくれます。

ゲストクリティークもあり、現役デザイナーやアーティスト、アートディレクターに加えて、UALの

他コースや他カレッジからもデザインチューターが来てくれます。本当に貴重な機会がたくさん設けられています。


Q. 日本ではファッションを学ぶとなればCSM(Central Saint Martins)のイメージが強いですが、FujihiraさんにとってLCFの魅力は何だと思いますか?

CSMにはCSMのカラーがあり、LCFにはLCFのカラーがあります。

ファッションデザインを学びたい人全てにCSMのカラーが合うわけでも、LCFのカラーに合うわけでもないと思います。LCFではクリエイティブディレクションのコースがあったりとテクノロジーやデジタルメディアなどにも強いです。伝統的なファッションデザインに囚われず、時代に沿ったクリエイションができるオープンで前向きな環境です。チューターやスタッフはみんな素敵で、感性、知識、魅力が溢れています。

Graduate Diploma Fashion Design Technologyから色々な学校のMA(修士号)に進むクラスメイトを見てきましたが、一番大切なのは自分のカラーに合った学校のコースを選ぶことだと思います。


Q. コース全体のスケジュールについて教えていただけますか?

Graduate Diploma Fashion Design Technologyでは、前半と後半に大きなプロジェクトが一つずつあります。 大体ではありますが、最初の5週間ほどはひたすら、何百枚ともなるリサーチ写真を集めては分析をしてプロジェクトの方向を決めて行きます。次の5週間ほどでテキスタイルのサンプリングなどを始めながらリサーチを続けます。極限まで探り掘ります。実際の「デザイン」や作品の制作は最後の最後まで行いません。

プロジェクトが進み始めると週に2ほど「クリティーク」があります。オンライン授業時のクリティークでは、プレゼン方式で自分のプロジェクトの進行具合を発表した後、チューターやクラスメイトがアドバイスやコメントをます。対面でクリティークを行う場合はチューター2人と21で行うことが多かったです。

メインプロジェクトのクリティークがない日は、イラストレーションの授業、カルチャー・クリティカルシンキングの授業があります。授業日は大体3日くらいで、その他の曜日はキャンパスのオープンスタジオに行って、プロジェクトを進めることが多かったです。

Q. チューターはどんな方たちですか?



基本的にはコースリーダーとメインチューターの2人でコースを進めてくれます。

他のコースと比べると珍しいかと思いますが、2名ともまだお若く、アートやカルチャー、ファッションの知識が豊富で新しいことにもアンテナを張っています。最高の二人三脚でコースの引率をしてくれています。

コースリーダーの方はLCFのWomenswearコースの卒業生でもあり、デザイナーやフォトグラファーとしての活動の他にも、他校でフォトグラフィーの修士コースに在学中だそうです。多くの現役デザイナーやアーティストと交友関係を持っていて、デザインやパターンメーキングはもちろん、ファッションフォトなどについてもとても詳しい方です。ご自身も学生であることもあり、私たちの気持ちも良く理解してくれます。

もう1人のチューターは、アートブックなどの出版経験がある方で、アートやカルチャーについてはもちろん、プリント(印刷)やブックバインディング(製本)などの知識も豊富に持っている方です。クラスメイトの間では歩く百科事典と呼んでいたほど、豊富な知識と感性の持ち主です。ファッションデザイナーではなく、アーティストの観点でアドバイスや提案を行ってくれます。

私はこのチューターに出会ったことをきかっけに、服作りではなく、「ビジュアルコミュニケーション」や「イメージクリエーション」が好きであると気づくことができ、より興味を持つようになりました。

デザインの経験を持つチューターと、アートやカルチャーに強いチューターと、とても良いバランスです。大学院レベルのコースならではの落ち着きと程よい緩さがあり、本当に心地良い環境を作ってくれました。疲れていたり、行き詰まっていたりして、次のクリティークまでにあまりプロジェクトが進んでいなくても、話を聞いてくれました。

プロジェクト終了時や、週末にはチューターを含めみんなでパブに行ったりもしました。卒業した今ではチューターとインスタグラムで繋がっていて、近況報告などをするようになり、学生と先生の関係から、デザイナー対デザイナーとして接してくれようになりました。

Q. クラスメイトはどんな方たちでしたか?

1クラスのみで、20人程度でした。すでに他校でBA(学部)を卒業した人がほとんどだったので、年齢は22歳〜30代、中には数年の社会人経験があって再び学びの環境に戻ってきた方や、お子さんがいる人も数人いました。ファッションデザインのBAを卒業した人が多かったですが、全く分野の違う医療やテック、テキスタイルの分野での経験を持つクラスメイトもいました。国籍はチリ、アメリカ、韓国、中国、インド、イギリスと様々でした。コース修了後は修士に進むことが目標の人がほとんどでしたが、私のように就職する人もいました。

Q. ご卒業されたアメリカのファッションスクールと違うなと思ったことがあれば教えていただけますか?

アメリカの学校はマーチャンダイズ(商品)や企画・生産に強い学校であり、テクニカルな技術や知識をたくさん身につけることができました。また、ハリウッドがあることからコスチュームデザインなども強く、設備やチューターもとても素敵でした。しかし、やはりロンドンという街で直接感じ、経験することができるアートやカルチャー、世界中から集まるクリエイティブな人の感性やそこからくる刺激は他にはありません。

毎日、毎時間が刺激で溢れているのがロンドン、そしてUALです。


ロンドンでの生活について


ロンドンには大きな公園がたくさんあり、オンライン授業が続く中、公園での散歩や友達とのピクニックは本当にいい息抜きになりました。また素敵な美術館、博物館、植物館などもたくさんあったので、毎週1つずつ巡っていました。週末にはコロンビアロードのフラワーマーケットに行ったり、ポートベローやショーディッチでビンテージショッピングをしたりしました。残念なことにロックダウンが長く続き多くのお店が閉まっていましたが、夜や週末は友達とポットラック(持ちよりパーティー)をして楽しい時間を過ごしました。

私は大学院レベルのコースにいたということもあり、クラスメイトは私と同じ20代前半〜30代で、新入生向けのパーティーには参加はしなかったのですが、Foundation(ファウンデーション)やBAコースに進学した友達は新入生パーティーなども楽しんでいたようです!

雰囲気はもちろん違いますが、イギリスでは日本のように電車やバスでどこにでも行けます。週末には日帰りでドーバー海峡などに行ったり、休みの時にはパリやスペインに行ったりしていた友達もいました!コロナで難しいこともあるかと思いますが、ぜひ中心部だけではなく色々な場所へ冒険をしてみてください。


ロンドン芸術大学に留学をして…

Q. 卒業後のキャリアについて教えていただけますか?


現在はデザイナーズブランドのプレスアシスタントとして働いています。

Graduate Diplomaコースの1年間で、私は服作りではなく、ファッションメディアやビジュアルコミュニケーションに本当の興味があると気づくことができました。

そのため、ファッションデザインのMAに進むのではなく、CSMで開講されているファッションイメージなどのファッションコミュニケーション系のコースに進みたいと思うようになりました。

しかし、私は関連した職務経験が少なかったので、MA(修士)コースに進む前に一度業界で経験を積みたく帰国することにしました。こういう決断だけは早いです。でも行動力は大切だと思っています。

仕事探しをしている中で、初めは幼い頃からの憧れだったファッション・カルチャー誌のエディターアシスタントなどを探っていましたが、減少傾向にある雑誌という媒体ということもあり、なかなかマッチすることができませんでした。

そんな中、私はプレスという仕事の募集条件に自分が興味を持っていることや、自分の長所や特技、今までの経験が合うことに気がつき、ブランドを絞りながら、プレスアシスタントの求人に何通か応募しました。

自分の特性を見極め、それに合った環境を探すことを心がけました。

最終的にこの会社に決めた理由として、このブランドは、アートやカルチャーにとても造詣が深く、服以外でのクリエーションが多いブランドで、自分が一番求めているクリエイティブな環境に近いと感じたからです。普段はロンドンでコレクションを発表していることもあり、UALの卒業生も在籍しています。

プレスというお仕事ではスタイリストやフォトグラファー、モデル、プロデューサー、エディターなど本当に多くの業界人と携わることができます。ショーや撮影、イベントなど服の作り手とはまた違ったクリエイティブな一面でブランドに携わることができます。

まだまだアシスタントとして始めたばかりなので、学ぶことはたくさんあり、今後も色々なことを吸収し、頑張っていく予定です!


Q. LCFで学んだことが現在のお仕事に役立っているなと感じることはありますか?

コースを通して、私は自分の特性を探ることができました。自分がどのようなブランドや仕事が向いているのか、またはどのような仕事に挑戦してみたいのか知ることができました。

デザインコースに進学したことで、現役デザイナーの作業過程や業界カレンダーの進み方などに限らず、多くのことをより良く理解することができたので、今後の行動に反映することができるのではないかと思います。

Q. ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)のサポートを受けて良かったことがあればぜひお聞かせください。

私は当時、クリエイティブシンキングやクリティカルシンキング力を身につけたいと分かっていても、実際は自分に合ったコースが何かははっきり分かりませんでした。数回に渡って行なわれたセミナーや実際のインタビューでアドバイスをしていただき、気づくことが多くありました。最終的には私のこれまでの経験や勉強してきたこと、そして今後のことを全て踏まえたうえで、Graduate Diploma Fashion Design Technologyのコースを勧めていただきました。

出願時にロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)のサポートを受けたからこそ、悔いなく、自分に合ったコースに進むことができたと感じています。自分では気づかない長所や短所をポートフォリオ相談会などを通して知ることができました。

私は過去の経験から、海外の大学に一人で出願することの大変さを知っているからこそ、ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)でサポートを受けられたことは本当に心強かったです。サポートは出願時のみならず、渡航準備のアドバイスもしていただけました。私はコロナ禍真っ只中の2020年の秋に進学することが決まっていたため、渡航準備やビザの取得などへの心配がありましたが、全て日本出願事務局サポートをしていただき、スムーズに渡航することができました。

卒業後も連絡をしていただいたり、近況を聞いていただきいたりして、とても心強いです。

Q. 今後の展望、ご活動の予定などがあればぜひ教えてください。

まだまだ学ぶことも多く、楽しみにしていることも多いので、今後しばらくはプレスとして頑張って行く予定です。新しい出会いなどを通して、個人のプロジェクトなども進めて行けたらなと考えています!

Q. これからロンドン芸術大学に留学を考えている方へのアドバイスやメッセージをお願いします!

新しい知識だけではなく、周囲のエネルギーや感性を吸収することもでき、素敵な出会いがたくさんある刺激的で素晴らしい環境だと私は思います。全く知らなかった自分を発見することができるかも知れません。私はロンドン芸術大学に進学し、卒業してからは毎日がより楽しく感じるようになりました。

 

ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ

大阪のインターナショナルスクールからアメリカのファッションスクールに進学後、にLCFのGraduate Diploma Fashion Design Technologyに留学されたFujihiraさん。卒業制作を拝見した時、作品がとても素晴らしかったのですが、こんなに素敵なチューターやコースメイトに囲まれ留学生活を過ごされていたのを伺って納得です。ちなみに、Fujihiraさんが働かれている某デザイナーズブランドのプレスマネージャーもなんとLCFの卒業生だそうです!


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