留学レベル: Postgraduate(修士課程) |
カレッジ: London College of Communication(LCC) |
コース: MA Photography |
留学期間: 2022年10月~ |
留学するなら London College of CommunicationのMA Photographyと心に決めていたHayashidaさん。
卒業後には資生堂ギャラリーで開催されている、コンテンポラリーアートの新人賞にも入選されました!
そんなHayashidaさんがアーティストとしてどんな留学生活を過ごされたのか、お話しを伺いました。
留学準備について
Q. 英国留学を決心した理由やきっかけを教えてください。
私は社会人になった2014年頃よりアーティスト活動をはじめたため、アートの高等教育は受けたことがありませんでした。しかし、自分の力に限界を感じはじめ、国際的に活躍するアーティストになるためには、今からでもきちんとアートを学ぶ必要があると思い留学を決めました。
また、コロナ禍の影響で閉鎖的なモードから抜けていなかった日本と、日常に戻りつつある欧米という当時の状況の違いも、留学を決めた大きな理由でした。
Q. なぜロンドン芸術大学(UAL)を選びましたか?
私の場合、「留学の決心= London College of Communication のMA Photographyに留学する」だったので、このコース以外の選択肢はありませんでした。
きっかけは、同年代で活躍している目標のアーティストの多くが、LCCのMA Photography卒業だと気付いたことでした。 コースのウェブサイトを見てみると、カリキュラムはまさに当時の私が求めている内容でした。 また、修士号ではないものの、身近にLCCのPhotographyコースの卒業生が数人いたことも安心材料となりました。
Q. ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)のサポートを受けて良かったことがあればぜひお聞かせください!
私は2021年10月上旬に留学を決めたので、出願までは約2ヶ月しかありませんでした。過去に自力で米国の大学受験をしたことはあったものの、英国大学院の事務的な仕組みはもちろん知りませんでした。
やるべきことやスケジュールなど、全く知識がなかったので、分からないことをすぐ確認・相談できる状況は本当に助かりました。また、ネット上では探すことが難しいUAL限定の情報を色々入手できたのも良かったです。何より、同じ時期にUALへ進学する方(特にLCCの大学院生)を渡航前にご紹介いただけたことで、現地でも心強い存在となりました。
ロンドン芸術大学コースについて
Q.LCCのMA Photographyはどんなコースですか?
写真というメディアを用いた表現を学ぶためのコースで、コンテンポラリーアートとしての理論を全般的に学びながら、ひとつの個人プロジェクトに取り組みます。
私が在籍していた時は3つのユニットで構成されていて、
プロジェクトを決める(出願時に提出したものでなくてOK)
プロジェクトを発展させる
プロジェクトを発表する(夏休みにまたがっている)
という流れで15ヶ月を過ごしました。ユニットごとに提出物(論文・ポートフォリオ)はありますが、学位の成績の評価対象は最終作品(ポートフォリオ)のみでした。
主にアーティストを目指す人向けのコースだと思いますが、写真の「読み方」を嫌でも学べますので、写真というメディアを扱うすべての方に向いているように私は感じました。
ただ、UALにはたくさんの写真コースがあるので、具体的に取り組みたいジャンルが決まっていて、それが他のコースにある方はそちらのコースをお勧めします。私のクラスメイトにも他のコースに転籍した人や、コースを間違えたと言っている人もいました。私には想像以上にピッタリのコースでしたので、大満足です。
Q. 1週間のスケジュールを教えていただけますか?
原則、週2日が授業日でした。大学で行われるレクチャーやチュートリアルのほか、美術館やギャラリーの展示を巡ることもありました。それ以外の曜日は、撮影に出たり、学内の施設で制作したり、展示を見に行ったり、リサーチをしたり、週ごとにかなり臨機応変に予定を組んでいました。だいたい夜10~11時就寝・朝7時ごろ起床という毎日で、日本にいた時よりもたっぷり寝ていました。
Q. チューターはどんな方たちでしたか?
コースを通しては複数のチューターがいましたが、ずっとサポートをしてくださったのは現役アーティストの方です。ユニットごとにもチューターがおり、ユニット1~2の段階では現役アーティストの方、ユニット2~3では現役キュレーターの方が主にチューターになっていました。
とはいえ教鞭歴も長く、写真に関する幅広い知識と見解を持っており、教育者としても本当に素晴らしい方々だと私は感じました。
私のコースではほぼ毎回のチュートリアルがポートフォリオレビューという形式で、何か見せるものがあれば、それに対する具体的な意見がもらえました。なので、私は必ず何かしら新しいものを持っていくように心がけていました。コースの後半はほぼ毎週チュートリアルがありましたが、学業に専念していたので時間はあり、かつ制作環境も整っていたので、1週間でも十分にアップデートすることができました。
Q. クラスメイトはどんな方たちですか?
40名のクラスメイトのうち、9割が中国籍・9割が20代(その大半は学部を卒業したばかり)で、これだけは期待を大きく裏切られてしまいました。ただ、共通の授業が多かったMA Photojournalism and Documentary Photographyは大半が英国籍・社会人経験のある学生でした。
また暗室などで作業をしていると、学年問わずさまざまなPhotographyコースの学生と知り合うことができたので、幅広い刺激を受けることができました。
また、基本的には個人プロジェクトのコースなので、クラスメイト以上にテクニシャン*(その多くは直近の卒業生)と仲良くなり、大変お世話になりました。
*UALの各カレッジには、テクニシャン(技術面をサポートする専門家)が常駐しており、学生が実現したいプロジェクトに対して技術的なアドバイスやサポートを行っています。
Q. コロナ禍でオンラインとのブレンド型の授業が取り入れられましたが、2023年度はどのように行われていますか?
原則すべて対面です。毎週水曜夕方に実施されていた、Photographyコースの全学生が参加できるゲストレクチャー(アーティストトーク)のみ、オンライン配信もありました。なお、語学の個別チュートリアルは原則オンラインでした。
ロンドンでの生活について
とにかく物価が高いものの、多くのミュージアムは無料で、質の高いアートギャラリーの展示も山ほどあるので飽きません。また、有料展示が割引になる年間パス「Student Art Pass」を渡英早々に購入し、かなり使い倒しました。おすすめです。
公共交通機関や住居環境などは日本のように円滑にいかないことが基本です。なので、電車は遅れること前提で予定を立てるなど、何事にもあまり期待しないようになりました。
ロンドンはほぼキャッシュレス対応で、現金なしでも生活はできます。中には「キャッシュオンリー」の個人経営の飲食店がたまにありますが、そういうお店はたいてい安くて美味しいです! 基本自炊か学食でしたが、留学後半はそのような飲食店も楽しんだため、結構現金も引き出しました。
ちなみに、英国の人参は日本のよりも甘くて美味しいため毎日1本は食べていました(笑)。
しかもめちゃくちゃ安く、日本のもやし的な存在だと思います!キャロットケーキも発祥はイギリスだそうです。
ロンドン芸術大学に留学して…
Q. 留学を経験して得たこと、良かったことがあれば教えていただけますか?
アートや写真の捉え方が変わり、自分がアーティストとしてどのような制作活動をしていきたいのか、その方向性が定まりました。
Q. MA Photographyに適している人やタイプなどがもし思い浮かべば教えていただけますか?
コースのシラバス内容が学びたいことと一致している方はもちろんですが、ある程度自分のやりたいプロジェクトが念頭にあり、大学の設備をフル活用してそのプロジェクトを発展させたい人には、最適のコースだと思います。
LCCの魅力はなんといっても大学の設備です。
暗室はもちろん、スタジオ・撮影機材・プリント・製本・木工など、アナログからデジタルまで写真作品の制作に必要なほぼ全ての環境が揃っています。
食堂などは正直きれいとは言えないですが、作品制作をする場所はどこもきちんと整備されており、大変気持ちよく作業ができます。また、図書館の雰囲気もあまり好みではありませんでしたが、蔵書やキュレーションは素晴らしく、インスピレーションに繋がりました。
Q. 今後の展望、ご活動の予定などがあればぜひ教えてください。
shiseido art eggというコンテンポラリーアートの新人賞に入選することができました。2024年1月30日から3月3日まで、銀座・資生堂ギャラリーにて大学院で取り組んできたプロジェクトを展示いたします。
Q. これからロンドン芸術大学に留学を考えている方へのアドバイスやメッセージをお願いします!
アート教育を受けたことのなかった私が、留学前に日本語で読んでおいてよかったと思う2冊をご紹介します。
・グレイソン・ペリー/著『みんなの現代アート』
決してUAL学長の著書だからという理由ではなく、UAL界隈が取り扱うアート事情を把握できるという理由から読んで良かったです。また、これを読んでUAL進学の意が固まったのも事実です。
・平芳 幸浩/著『マルセル・デュシャンとは何か』
UALで学んでいると、なにかしらでデュシャンの名を聞く機会があると思います。その際、彼についての基礎知識があるかないかで、だいぶ理解が違ってくる気がします。日本人向けに書かれたこの入門書を読んでなかったら、その議論の本質は理解できなかったろうなと感じたことが多々ありました。読んで良かったです。
ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ
Hayashidaさんは社会人として働く一方、ビジョンを持ちながら個人プロジェクトにも取り組まれ、常にアンテナを張ってご準備されていらっしゃいました。そんなHayashidaさんは、卒業後すぐに第17回shiseido art eggに入選、資生堂ギャラリー(東京・銀座)にて個展というチャンスを掴まれました!素晴らしいですね。
Hayashidaさんの個展は下記リンクよりご確認いただけます。ぜひ皆さま足を運んでみてください!
第17回 shiseido art egg
第 1 期展 林田 真季 展 2024 年 1 月 30 日(火) ~ 3 月 3 日(日)
QS世界大学ランキング(アート&デザイン部門)第二位のロンドン芸術大学 (UAL)では、現在2024年度出願者を募集中です。ご質問や疑問があれば、こちらのリンクよりどうぞお気軽にお問合せ下さい。
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