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MA Fashion Design Management: Ms Eika Sada



留学レベル:

Postgraduate(修士課程)

カレッジ:

London College of Fashion

​コース:

MA Fashion Design Management

​留学期間:

2021年9月~

多くの企業がサステナブルな取り組みを行っていますが、現在ロンドン芸術大学、London College of Fashion(LCF)で「ファッション業界におけるサステナビリティ」の研究をしているSadaEikaさんに留学生活についてお話を伺いました。


留学準備について


Q. 英国留学を決心した理由やきっかけを教えてください。

大学受験の失敗が海外大学学を志すようになったきっかけです。東京の大学に行きたかったものの受験が思うように行かず、渋々田舎の実家から地元の大学に通うことになったことがあまりに悔しく、こうなったら東京などと言わず海外でもう一度自分の人生にチャレンジしたいと強く思ったことが留学の原動力になりました。


Q. 留学を決めた後、どのように出願準備を進めましたか?

大学院進学は大学入学当初に決定していたので、大学4年間を通して大学院で研究したい分野に関連する経験を可能な限り積めるよう努力しました。私はファッション業界におけるサステナビリティの分野での進学を志していましたが、当時大学では経済学部に在籍していたので、大学外で個人的に関連経験を積む必要がありました。そこで、交換留学を利用し大学2年次より1年間、マンチェスター大学にてファッションビジネスを学び、基礎知識を身につけました。さらに、日本に帰国する前には、フィリピンのサステナブルファッションの生産地に赴き、フィールドワークを実施しました。また帰国後は、サステナブルファッション関連のイベントを主催したり、サステナビリティに力を入れているアパレルブランドでアルバイトを開始し、勤務店舗のサステナビリティ関連の責任者に就任し、スタッフの知識向上に従事したりしました。また、卒業論文では、4年間で培った知識や経験を踏まえつつ、出願予定のコース内容と関連したトピックについて執筆しました。

出願時に求められるCV(職務経歴書)やPersonal Statement(志望動機書)では、これらの経歴を引用しながら、研究したい分野に対する私の情熱や好奇心をアピールしました。例え在籍大学での専攻が進学先で学びたい分野と異なっていても、大学外での活動に力を入れることで、その分野に対する熱意が十分に伝わるかと思います。また、他の学生とは異なる経験を有していること(私の場合は経済学部出身であるということ)は、上手くコースに関連づけることが出来れば大きな強みにもなり得るので、表現方法を工夫しつつアピールすることが大切かと思います。


Q. なぜロンドン芸術大学を選びましたか?

私が大学院でさらに理解を深めたかった分野(ファッション業界におけるサステナビリティ)の研究が盛んに行われている大学院に進学したかったので、この分野で名を馳せている大学を探したところ、ロンドン芸術大学に行きつきました。コースについては、ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)主催のイベントで出会ったロンドン芸術大学の先生のアドバイス、そして大学のコース概要を参考にしながら選択しました。特にこのコースのコースリーダーの方の研究内容が、私が最も興味のある分野と一致していたことが最大の決め手となりました。


ロンドン芸術大学コースについて


Q. MA Fashion Design Managementはどんなこと学ぶコースですか?

このコースの大きな焦点はファッション製品がデザイン、生産される過程(Product Development-Supply Chain)にあります。具体的には、製品開発、サステナブルデザイン戦略、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント等の分野が関わってきます。下記はそれぞれこのコースに特化した4つの授業の課題内容の一部です。年度によって詳細は多少異なるかと思いますが、授業では下記のような課題を遂行するために必要な理論やフレームワークを学びます。

<セメスター(学期)1>

Sustainable Design Thinking: ファッション業界における解決困難な問題(Wicked problem)を選択し、「デザイン思考」のプロセスに沿って、その問題の解決方法を探り、提案する(課題形式:ポートフォリオ & レポート1000 words)

Design Management Principles: 何かしらの問題に直面しているファッションブランドを選択し、商品展開もしくはサプライチェーンの観点から問題点を分析し、改善方法を提案する (課題形式: レポート 2500 words)

<セメスター2>

Leading Design Practice: 3つのファッションブランドとの共同グループプロジェクト。配属されたブランドの現時点での問題点や改善点を分析し、マージン(原価と売値との差額)やサステナビリティなどあらゆる分野を考慮した上で、新しい商品コレクションを提案する(課題形式:グループプレゼンテーション & レポート2000 words)

Design and Innovation Strategy: 指定されたブランドが特定のイノベーション(今年はメタバースでした)をそのビジネスに導入すると仮定して、そのブランドのアイデンティティに沿ったメタバースの活用方法や、その導入プロセスを提案する(課題形式:レポート3000 words)

Q. 日本ではまだファッションといえばCSM(Central Saint Martins )のイメージが強いですが、SadaさんにとってLCFの魅力は何だと思いますか?

私は、LCFは「ファッション業界のstatus quo(現状)にチャレンジする」のに最適なカレッジだと思います。LCFには、Centre for Sustainable FashionやFashion Innovation Agencyなどサステナビリティやイノベーションにおける世界的にも有名な研究機関が所属しています。そのため、LCFでは(コースによって差異はあると思いますが)数多くのコースが、このような研究機関とコラボレーションした授業を行なっていたり、LCFの学生のみ参加可能なトークイベントや、研究者の方との1対1のチュートリアル(先着予約制)の機会が用意されています。授業の質の高さは言うまでもなく、授業外でも世界的に権威のある研究者の方々との接点が得られるので、興味があるまたは問題意識がある分野について研鑽を積むのに非常に望ましい環境です。

またファッション関連のコースにおいてCSMとLCFを比較した場合、CSMの主なフォーカスはデザイン&コミュニケーションにあると思いますが、LCFの場合はそれらに加えてビジネス系のコースも非常に豊富であることが特徴です。その名の通りファッションに特化したカレッジですので、「ファッション」という共通の興味を有しているものの、自分とは全く別の観点からファッションを学んでいる学生と交流する機会に多く恵まれます。この環境は、ファッション業界について多角的な視点を養うのに大変好ましいと思います。


Q. 一週間のスケジュールを教えていただけますか?


私のコースでは1セメスターあたり3種類のユニット(授業)を履修します。それぞれA B Cとします。

月曜日:ユニットA (Lecture + seminar): 10:00-14:00(対面)

火曜日:ユニットA(Drop in*)9:00-10:00(オンライン)     ユニットB(Lecture)12:00-13:00 (対面)

    ユニットB (Seminar) 14:00-17:00 (対面)

水曜日:ユニットC(Lecture)10:00-11:30 (対面)

    ユニットC(Seminar)12:00-14:00 (対面)

木曜日:ユニットC(Drop in)9:00-9:30 (オンライン)

    Language Development** 10:00-11:30(オンライン)

    ユニットB(Drop in)13:00-14:00(オンライン)

    コースリーダーDrop in 14:00-14:30(オンライン)

金曜日:Self-directed study***

* 大人数での講義

** 少人数での講義

* Drop in:各授業の担当教員もしくはコースリーダーに自由に質問したり、各授業内容について話し合ったりできるインフォーマルな時間で、基本自由参加です。

** Language Development: 英語を母国語としない学生向けの、Academic Englishを学ぶクラスです。成績評価の対象ではなく、自由参加です。

*** 金曜日は基本的には授業はありませんが、おおよそ毎月一度金曜日にイベントやフィールドトリップが実施されます。コースが開始したばかりの頃はEast Londonを探検してコースメイトと担当教員でピクニックをしたり、秋頃にはAlexander McQueenのアーカイブを見に行ったりしました。4月にはASOSのサプライヤーを訪れる予定とのことです。


Q. チューターはどんな方たちですか?

現役のデザイナー、バイヤー、プロダクトデベロッパー、プロダクションマネジャー、サステナブルファッションコンサルタント等の幅広い経歴を持った方々です。修士論文では、学生の希望分野の経験が豊富な方が専属のチューターとして配属されます。チュートリアルは一対一のものもあればグループチュートリアルという形式もありますが、どちらもカジュアルな雰囲気で、プロジェクトの進捗状況や授業&大学生活について自由に話す機会として有益です。


Q. クラスメイトはどんな方たちですか?

私のコース(総勢28名)には、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランス、インド、コロンビア、パキスタン、バーレーン、中国、台湾、そして日本の学生が在籍しています。年齢は22~24歳が一番多い年齢層で、学部を卒業したばかりの学生が半数強かと思います。


学部を卒業したての学生でも、インターンシップやアルバイト等を通して、関連分野の実践的知識を身につけている学生が大多数です。学歴としてはテキスタイル、ファッションデザイン、ファッションビジネスを専攻していた学生が最も多いですが、ファイナンスや政治経済、観光学を専攻していたという学生も少数います。クラスメイトの中で最も業界経験があるのは30代前半の女性で、デザイナーやプロダクトデベロッパーとして10年間ファッション業界で働いていたようです。

Q. ご卒業された日本の大学と違うなと思ったことがあれば教えていただけますか?

正直ファッションスクールということで、勝手ながら殺伐とした女の世界のような雰囲気を勝手にイメージしていたので、LCFの大学としてのフレンドリーな雰囲気に驚きました。特に私のコースではいい意味で学生と先生方の距離が近く、先生方は授業の質問からコース内容の提案まで、常にウェルカムな体制で、非常に接しやすいと感じました。授業では教員と学生が非常にインタラクティブ(対話的)で、授業の途中でもいつでも質問しやすい雰囲気が日本の大学と大きく異なる点かと思います。


ロンドンでの生活について


コロナの規制はほぼ撤廃され、ロンドンの街に活気が戻りました。私のコースは週の半分以上は対面の授業が実施されているので、授業終わりはコースの友人とカフェやパブに立ち寄って帰ることも多いです。私は700人ほどの学生が住んでいるロンドン芸術大学の寮 (The Costume Store)で生活しています。寮内では定期的にMovie NightやSunday Afternoon Teaなどイベントが毎週開催されているので、他のカレッジで学ぶ友人を増やす機会も豊富です。私の通うキャンパスは、ロンドンの中心街、Oxford Circusに位置しています。ロンドンで最も賑やかかつ華やかなエリアに毎日のように通学するのは、今でも胸が高鳴ります。

またロンドンは世界的な首都ということもあり、あらゆる機会に恵まれていることも魅力です。先日はLondon Fashion Weekのショーのバックステージにてボランティアをするという貴重な体験をしました。他の街に比べて生活費がかさむことは事実ですが、そのコストを上回る経験を得ることが出来ている実感は大いにあります。


ロンドン芸術大学に留学して…


Q. 留学を経験して得たこと良かったことがあれば教えていただけますか?

自分の研究分野において最先端の教育を行なっている大学で日々学んでいること、そしてその成果が成績に表れることを通して、自分の中でさらなる自信や向上心を養うことが出来たことが最大の収穫かと思います。


Q. MA Fashion Design Managementに適している人やタイプなどがもし思い浮かべば教えていただけますか?

  • ファッションデザイン分野での学歴や職歴があるがファッションビジネス面の知識も身につけたい人

  • クリエイティブ思考に長けている人

  • 現代のファッション業界に対して問題意識がある人

  • サステナブルデザイン戦略、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメントなどの分野に興味がある人 など

Q. ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)のサポートを受けて良かったことがあればぜひお聞かせください。


サポートを受けたことによって、留学実現のために今自分は何をしなければいけないのかが、自分の中で常にはっきりしていたことが最大の利点でした。海外大学への出願からビザ申請まで一人で準備をするとなると、よほど留学に慣れていない限り、何をするにも手探りで不安やストレスが生まれやすいですし、準備の効率も落ちるかと思います。beoを利用したことで、いつも相談に親身にのってくださる担当カウンセラーの方が、常に不安や不明点を解消してくださった上、ロンドン芸術大学の先生と実際にお会いし相談できる機会を得ることができたので、当初は漠然とした遠い夢でしかなかったロンドン芸術大学への進学も、次第にその実現の可能性が垣間見えるようになっていったのを覚えています。特に地方の大学の経済学部出身で芸術大学への出願方法の知識がゼロだった私にとって、留学実現に必要不可欠なサポートでした。


Q. 今後の展望、ご活動の予定などがあればぜひ教えてください。

夏には、LCFのFashion Business Schoolから選出された2名の学生の1人として、スペインの大学(University of Deusto)のサマースクールに出席し、Fashion Law & Managementを学ぶ予定です。卒業後は、グローバルファッションブランドのサステナビリティもしくはサプライチェーン関連の部署にて就職することを目標に、インターンシップ等を通して関連分野の経験を積んでいく予定です。そして業界経験を積んだ後は博士号を取得し、いつかLCFのようなグローバルな大学で教鞭を取り、次世代に知識経験を継承していくことが夢です!

Q. これからロンドン芸術大学に留学を考えている方へのアドバイスやメッセージをお願いします!

ロンドン芸術大学は、芸術における幅広い分野において個性豊かな学生が世界中から集まる、非常にユニークかつ興味深い大学だと思います。beoのサポートやイベントを最大限活用しつつ余裕を持って準備をすれば、必ずオファー獲得につながると思うので、簡単に諦めることなく夢を追いかけ続けてください!


 

ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ

Sadaさんは、大分大学経済学科に在籍時より、時に飛行機で上京されるなど、積極的にロンドン芸術大学のイベントに参加していらっしゃいました。こうやって一つひとつ準備していった先に、留学という大きな目標を達成されて本当に嬉しく思います。

なお、6月に参加されるスペインの大学のFashion Law & Managementのサマーコースですが、なんと旅費や滞在費等は全てLCFが負担するそうです! その様子など、改めてお話を聞かせていただけることを楽しみにしています!

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